わらじわらしの昔話
古里の農家の納屋に眠るわらじ、いつ編んだ物か判らないほど古いわらじやむしろ
(藁で編んだゴザの代用) が薄暗い納屋の中に埃にまみれ、わらじわらし、が棲んでいる。
この納屋は、わらじを履いた子供、わらじわらしの棲家なのかもしれない、そういえば昔、わらしの頃
寝物語としてばあさんの布団に潜り込んではこんな昔話を聞くのが楽しみだった。
昔々あるところにじいさんとばあさんが冬の暇な時期は草鞋やらつまご、ぞうりを
編むのを正業とし細々と慎ましく暮らしていた。一日草鞋を編むのが10足がやっと、夜も更けて
きたしばあさんもう休むベーとじいさん。 次の日納屋へ行ってみると確か昨日はわらじを10足
編んだのに1足たりない、これは泥棒が盗んだのに違いないとじいさん今晩は納屋で泥棒を捕まえる
つもり、夜も深深となりうとうとしているとわらしが草鞋を履いている、何処のわらしだー、とじいさん
2〜3日こんな事が続きじいさん、ばあさんは子供がわらじを持って行くのを
あきらめたそうだ。
わしら夫婦には子供がいない、きっとあれは、わしらの子供だ、なあばあさん。
これからは、あのわらしを大事に育てよう。
岩手県金田一の金田一温泉郷には座敷わらしが今でも棲むと言う。
座敷わらしに遭うといいことがおこるらしい。多分じいさん、ばあさんは子供の化身を夢見て愛しみ
ながら幸せに暮らしたに違いない。
わらじわらしが棲むという古里の農家の納屋のわらじと南部町の旧家に伝わる子供の地蔵
子安様と呼ばれる。子宝の神様
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